神 奈 川 県 知 事
黒 岩 祐 治
あけましておめでとうございます。
振り返りますと、昨年の元日は、能登半島地震が発生した日でありました。
正月の穏やかな一日を吹き飛ばす突然の大地震に、私自身、大変驚くとともに、いつ起こるか分からない地震災害の恐ろしさを改めて突きつけられた思いでした。
県は、地震発生直後から「災害対策支援チーム」を設置。その後、警察や消防が次々と現地に赴き、被災者の捜索や救助にあたりました。
現地では、断水や停電、通信障害などライフラインの被災が深刻で、在宅避難や住民が自主的に開設したいわゆる自主避難所などに避難した被災者も多くいたため、避難者の情報の把握と集約ができない事態が生じていました。
能登半島地震の被災地での経験を基に、私たちは防災DXをさらにブラッシュアップさせました。通信の断絶に備えて衛星通信システムを導入したほか、孤立地域や土砂災害現場等の被害状況を把握する上で有効な赤外線カメラ搭載のドローンの配備等、デジタルを活用した応急活動体制の整備を進めています。
県政課題へのデジタルの活用は、こうした災害分野に止まりません。
例えば、子ども子育て分野。令和5年12月に導入したLINE公式アカウント「かながわ子育てパーソナルサポート」は、デジタルを活用することにより、お住まいの地域やお子さんの年齢に応じた情報支援を可能とした取組で、すでに5万人を超える方にご利用いただいています。また、医療分野においても、オンライン診療の活用や、地域における患者情報の共有が進められています。
私は、4期目の県政運営に当たり「県民目線のデジタル行政でやさしい社会の実現」を掲げました。進歩の著しいデジタルの力を様々な課題の解決に活用し、県民の皆様が抱える「不安」を取り除いていくという考えです。
こうしたデジタルを活用した取組をさらに進め、県民の皆様一人ひとりの「いのち」が輝くやさしい社会の実現を目指し、本年も全力を尽くしてまいる所存ですが、そこには、人々が積み上げてきた技術・技能も必要です。
県では、令和4年度に策定した「第11次神奈川県職業能力開発計画」のもと、ものづくり分野の高度な技能労働者の育成を支援するとともに、幅広い世代に対して技能への関心を高め、ものづくりを志す人材がそれぞれの分野でいきいきと働けるよう取組を進めてまいります。
神奈川県表具経師内装協同組合の皆様におかれましても、ものづくり産業を支える人材の育成や技能振興へのご支援とご協力を賜りますとともに、引き続き、県政への温かいお力添えをお願いいたします。
結びに、新しい一年が、県民の皆様にとって素晴らしい年になりますことを祈念いたしまして、新年の挨拶といたします。